自然素材と地域資源を生かし、共につくるオフィス

淺沼組広島支店エントランス改修プロジェクト

淺沼組が推進する「人間にも地球にも良い循環を生む」リニューアル事業「ReQuality」の一環として、広島支店エントランスの改修を実施。空間のレイアウトに大きな変更を加えることなく、仕上げ材の更新を中心に構成した。使用する仕上げ材はすべて自然素材とし、自然素材と人工素材が分離可能な設計を目指した。自社で開発した建材を展示し、地域性を取り入れた素材・デザインによって、今後全国の本支店への展開に向けた、ReQuality改修モデルの第一歩としている。
改修にあたって、既存の天井や床のカーペットをそのまま利用し、壁面は既存のビニルクロスの上から自然素材による左官仕上げに変更。廃棄物の発生を最小限に抑える改修を実現している。応接スペースには、技術研究所が開発した新たな土の建材を展示。建設発生土を活用した「還土ブロック」、土と木の積層による「立体木摺土壁」、焼かない煉瓦「未焼成煉瓦」の3種を展示し、自立壁を実現する、鉄骨バットレスの工法も新たに開発した。
さらに、社員によるワークショップを実施し、土壁パネルに個々のデザインを施して、実際に土を塗る作業を体験。パネルは、エントランス正面に設置され、改修に自らの手を加えることで職場への愛着や日々の業務にささやかな気分転換をもたらすものとなっている。
テーブル天板には、奈良県の吉野地域の間伐材を使用。虫喰いなどにより通常はチップやバイオマス燃料として扱われる材も自然のデザインととらえ、日本古来の接着方法である“炊いたお米”をすりつぶして接着剤に用いた「続飯(そくい)天板」を制作した。また、廃棄される白菜を乾燥・粉砕・加圧して成形した「白菜パネル」や、広島県産材のサクラ・ナラ材、さらに虫喰い材として通常は選別される無選別材でつくった椅子を設置。地域資源やこれまで価値のないとされてきた素材に新たな価値を見出すことで、サーキュラーエコノミーの実践につなげている。
自然素材の活用と将来的な解体・再利用を見据えた設計により、建設におけるより良い循環を実現する、ReQualityの理念を具現化したプロジェクトである。

発注者 淺沼組
工事場所 広島県広島市
竣工年月 2025年3月
設計事務所 淺沼組技術研究所 GOOD CYCLE DESIGNグループ
構造・規模 改修面積 / 約45㎡

改修概要

リニューアル事業「ReQuality」の一環として、全国の本支店エントランス改修のモデルとなる第一弾プロジェクト。空間のレイアウトは維持しつつ、仕上げ材の更新を中心に構成とし、廃棄物の発生を最小限に抑えることで、環境への負荷を軽減した改修を実現している。社員が日々働き、来客を迎える場として、自然素材の温もりと地域資源の魅力を活かしながら、心地よく人を迎え入れるエントランス空間を目指した。

  • 脱炭素化
  • アップサイクル建材
  • 還土ブロック
  • 立体木摺土壁
  • 未焼成煉瓦
  • ワークショップ

エントランス

エントランス正面に、社員がワークショップで製作した土壁パネルを設置

還土ブロック

立体木摺土壁

未焼成煉瓦

白菜パネル

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